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社内SEは本当に楽なのか?ユーザー系IT企業とSierとの違いは?これからIT企業への就職や転職を考えている人むけに、ユーザー系IT企業から社内SEに40代で転職した筆者がITエンジニアの仕事内容やプロジェクト管理のノウハウ等をご紹介。

電子帳簿保存法:書類の電子保存

電子帳簿保存法は、とてもグレーなことが多い法律です。

そんな電子帳簿保存法の書類の電子保存についてご説明します。

1.書類とは?

書類とは、決算に関わる「決算関係書類」と、取引に関わる「取引関係書類」に分類されます。

決算関係書類は、棚卸表や貸借対照表損益計算書、等です。素人には「帳簿」との違いが分かりません・・・。

取引関係書類は、契約書、見積書、注文書、注文請書、納品書、検収書、請求書、領収書、送り状、といった取引先や顧客とやり取りをする書類です。

取引関係書類で重要なことは、取引先や顧客から受け取ったり、渡したりしているかどうかです。社外とやり取りしていない書類は、たとえば「注文書」と名づけていても、ただの社内文書になるため、取引関係書類には該当しません。

逆に「確認書」のような漠然とした名前の書類であっても、顧客に渡していて取引に関わる情報(金額等)が記載されていれば、それは取引関係書類に該当します。

2.書類の電子保存

自社のシステムで作成した決算関係書類や取引関係書類は、紙での保管ではなく電子での保管が電子帳簿保存法で認められています。

システムで作成したものであれば、そのデータが保管してあれば、いつでも紙や画面で確認できるので、紙での保管は不要という考えです。

そのため、システムで作成した書類であっても、その書類に情報を手書きで追記したものを社外に渡すような場合には、電子保存は認められません。データだけだと、手書きして追記した情報が欠落してしまうためです。

手書きの情報を追記して渡した書類や、逆に相手から紙で受領した書類を電子的に保管したい場合には、スキャナ保存という方法で保存する必要があります。

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3.書類の電子保存の要件

書類の電子保存の要件は、帳簿よりもかなり少ないため、比較的容易に対応できます。

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大部分の電子帳票システムは上記要件(日付での検索)を満たしているので、書類の電子保存を行う場合、電子帳票化することが多いです。

ここで電子帳票化する際に注意が必要なのは、検索結果に対象外の書類が含まれないようにすることです。

具体的には、たとえば注文書を電子帳票化する際に、一つの注文書を取引先に渡すレイアウト通り、1ページ、あるいは複数ページで作成する場合には問題ありません。

それをレイアウトを変えて、1ページに複数の注文書の情報が出力されるような形式はNGです。検索した結果、該当したページに検索にヒットしない注文書の情報が含まれるからです。

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.法令を読み解く

どの法令も一緒だと思いますが、電子帳簿保存法も難解です。

書類の電子保存に関わる上記の3つの要件は、電帳法の施行規則の以下の箇所に記載されています。

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 【振り返り】

第四回は、書類の電子保存でした。第五回は、スキャナ保存です。

第一回:概要
第二回:e 文書法や関税法との違い
第三回:帳簿の電子保存
第四回:書類の電子保存
第五回:スキャナ保存
第六回:電子取引
第七回:まとめ