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社内SEは本当に楽なのか?ユーザー系IT企業とSierとの違いは?これからIT企業への就職や転職を考えている人むけに、ユーザー系IT企業から社内SEに40代で転職した筆者がITエンジニアの仕事内容やプロジェクト管理のノウハウ等をご紹介。

プロジェクト計画書の書き方:プロジェクト管理ルール

プロジェクト計画書の書き方の説明です。

第七回は、プロジェクト管理ルールの説明です。

1.プロジェクト管理のルール化

プロジェクト計画書では、プロジェクト管理のルールを定めます。

進捗管理や変更管理など、それぞれの管理をどのようなドキュメントで管理するのか、そのドキュメントは誰が更新するのか、等をあらかじめ定めます。

それぞれがどのような管理なのかは、このブログの「プロジェクト管理」でまとめているので、ご参照ください。

少人数のプロジェクトであれば、管理表を担当者が直接更新しても良いかもしれません。大人数のプロジェクトの場合、管理表を担当者が直接更新すると、管理者が内容を把握できなくなってしまうので、担当者は管理表への追加・更新の依頼票を起票し、管理者に送付、管理者が内容を確認した上で管理表を更新、といったフローが必要になります。

そういったルール以外にも以下の管理については、個別のルールが必要となります。

進捗管理

・品質管理

・課題管理

・変更管理

ここでは、それらを管理するルールについて説明しますが、重要なことはプロジェクトの特徴や状況を踏まえ、柔軟に管理ルールを変えていくことです。

スケジュールに大きなリスクのあるプロジェクトであれば、WBS をより細かい単位にして、進捗管理を時間をかけて行うことになりますし、課題が大量にでるようなプロジェクトであれば、課題の対策以外にも課題の発生を抑える取り組みに時間を割きます。

一度決めたルールもプロジェクトの状況に合わせて、手綱を緩めたり、逆に引き締めたりしていく必要があり、すべて細かく管理をすればいいというものではありません。

2.進捗管理ルール

通常、進捗は週次の進捗定例などで報告がされます。

その際、誰がどのような形で報告をするのかをルール化します。

例えば、ベンダーの体制が複数のサブシステムごとに分かれている場合、各サブシステムのリーダーが発注者に報告をするのか、それとも事前にベンダーの PM が進捗を取りまとめて、PM から発注者に報告をするのか、といったルールです。

ベンダーの PM に事前に進捗を取りまとめて報告してもらう方が楽ですが、現場の生の情報が入ってきた方が、プロジェクトの状況を正確に把握することができます。

各リーダーに報告をしてもらうと、進捗定例の時間が長くなってしまうというデメリットもあるので、誰から進捗報告を受けるかは、スケジュール遅延のリスクが高いか低いかで判断することになります。

遅延リスクが高いプロジェクトであれば、より現場に近い人から報告を受ける必要があり、遅延リスクが低いプロジェクトであれば、ベンダーの PM からの報告だけで済ませられます。

スケジュールが遅延してきたら、リーダーから報告してもらうようにして、オンスケであれば PM からさらっと報告を受けるだけにしておく、などプロジェクトの状況に合わせて適宜、ルールを変更していきます。

3.品質管理ルール

品質管理もどのようなタイミングで実施するかをルール化します。

工程が終了してから、定量評価、定性評価等を行ったのでは、遅い場合がほとんどです。

例えば単体テスト工程が終了して品質評価を行い、強化テストが必要となった場合、強化テストが終わるまで結合テストの開始を遅らせるのか、強化テストと並行で結合テストを進めるのか、いずれもスケジュール遅延や手戻りのリスクがあるため、品質を高めるための強化テストなのに、逆に現場が混乱して品質悪化を招く、といった事態にもなりかねません。

毎週だと管理負荷が高くなってしまいますが、工程の途中で品質評価を行い、今のまま工程を続けて大丈夫なのか、品質強化の対策が必要なのか、工程中に判断をしていくことが重要です。

どのタイミングで、どんな品質評価をしていくか、あらかじめルール化しておくことで、蓋を開けてびっくり、な状態になること回避します。

また広義での品質管理では、成果物品質だけでなく、プロセス品質についてもチェックをしていきます。

4.課題管理ルール

プロジェクトがはじまると、さまざまな課題が発生します。

なかには課題ではなく、ただのタスクを課題扱いするケースや、仕様変更(変更管理の対象)と課題を混同したり、課題一覧は玉石混交の状態となります。

その中で、ステコミ等の会議で報告すべき課題は何か?

報告時に迷わないように、あらかじめ課題の影響度を定義し、ステコミでの報告対象を決めておきます。例えば影響度を特大、大、中、小の4分類にするのであれば、特大と大の課題をステコミ報告対象とするようなルールです。

5.変更管理ルール

変更管理で重要なことは、承認された変更が正確に変更対象の資産(ドキュメントやプログラム)に反映されていることを確認することです。

管理が不十分なプロジェクトでは、変更の承認がされたけど、プロジェクトメンバーへの周知が不十分で、変更が反映されなかった、あるいは一度変更されたものが先祖返りしてしまった、等の問題が発生します。

変更管理はドキュメント管理とも密接に関わるので、運用フローを作る際には、ドキュメント管理とセットで考える必要があります。

また大規模プロジェクトでは、変更管理の予算も確保します。

その予算内で仕様変更を受け入れることになるので、変更に伴うコストを算出し、影響度等を考慮して変更を受け入れるか、受け入れないか、変更管理委員会等で判定していくプロセスも必要となります。

【振り返り】

今回はプロジェクト管理ルールの説明でした。

プロジェクト計画書の紹介は以上となります。

①プロジェクト概要(目的、背景、範囲、特徴、前提・制約事項等)
②開発方針(開発手法、技術、テスト環境、パッケージのカスタマイズ方針等)
③マスタースケジュールと工程定義
④プロジェクト体制と役割分担
⑤工程管理基準と会議体計画
⑥プロジェクト管理ルール