15年くらい前に、アベニーパファーという淡水フグを飼っていたことがあります。
生まれてはじめて自分で飼ったペット。コレド日本橋の雑貨屋で見かけて一目惚れしました。
名前はふぐ太郎。餌は細長い赤虫。懐くと手から食べてくれるので、ちょっと気持ち悪い赤虫でも、我慢して触ることができました。
ふぐ太郎は魚なのに、悩みます。食い意地がはっているので、お腹がいっぱいになっても餌の前で立ち止まって、食べようかどうしようか苦悩します。無理して食べると、お腹から餌がぴゅっと飛び出します。そして、それをまた追いかけて食べます。
ふぐ太郎は魚なのに、ぐで〜っと寝ます。さすがに横になっては寝ないけれど、石のベッドから落ちて、頭を下にして寝ていることもあります。瓶を叩いても、ちょっとやそっとじゃ起きません。
ふぐ太郎は魚なのに、歯を鳴らして食べます。細長い赤虫を、歯をガチガチ鳴らして、ものすごい勢いで食べます。そして頬を膨らませて、とても良く噛んで食べます。おいしい赤虫だと、犬の尻尾のようにヒレを振って喜びます。
ふぐ太郎は魚なのに、人間でした。
そんなふぐ太郎。たったの2ヶ月で天国に旅立ちました。
苦しそうなふぐ太郎が事切れる瞬間に立ち会ってしまったせいか、何故か涙が出てしまい・・・。たかが魚一匹に、大の大人がバカみたいだと思いながらも、涙が止まりませんでした。
たったの2ヶ月だったけれど、家族以外ではじめて毎日一緒に過ごしたふぐ太郎。「人」ではないけれど、そのときの自分にとって、何かとても大切な存在だったみたいです。