社内SEになりました

社内SEは本当に楽なのか?ユーザー系IT企業とSierとの違いは?これからIT企業への就職や転職を考えている人むけに、ユーザー系IT企業から社内SEに40代で転職した筆者がITエンジニアの仕事内容やプロジェクト管理のノウハウ等をご紹介。

プロジェクト管理のキモ(概要)

プロジェクト管理とは、プロジェクトを成功させるための活動のことです。なんのこっちゃ?ですが、実はプロジェクト管理は、それこそ新入社員でもやっていることなのです。

 例えば新入社員の田中君が先輩に、詳細設計書をもとにプログラムを1週間で10本作るように指示されたとします。田中君は1週間(5日間)のうち最初の3日で10本プログラムを作って、残り2日でテストをする計画を立てました。

初日に3本のプログラムを作った田中君。テストの予定は4日目からですが、ちょっと心配なので事前に簡単なテストもやってみて、大きな問題は無さそうだと一安心しました。これはリスク管理を田中君がやったことになります。初日の3本作成はほぼ計画通りなので、その日の進捗を先輩に報告しました。これは進捗管理「コミュニケーション管理」を田中君がやったことになります。

2日目にちょっと苦戦をして、このままだと2本しか作れそうにありません。先輩に相談して2時間の残業をして、その日は3本のプログラムを作成することができました。これは進捗管理「コスト管理」「コミュニケーション管理」を田中君がやったことになります。

3日目は順調に進んで、残り4本のプログラム作成を完成させることができました。4日目にテストをしたところバグが見つかり、他のプログラムにも同様のミスがあることに気づいたので、テスト未実施のプログラムもミスを修正しました。これは田中君が「品質管理」をやったことになります。

最終日、テストも一通り終わり、結果を報告することになりました。田中君の初仕事なので、先輩だけでなく上司も心配していたので、先輩と上司の2人に報告をしました。これはステークホルダー管理」を田中君がやったことになります。

このように田中君のような新入社員でも「進捗管理」「コミュニケーション管理」「リスク管理」「コスト管理」「品質管理」「ステークホルダー管理」といった6種類のプロジェクト管理を日常的にやっています。

そして田中君の先輩もまた、田中君が予定通りにプログラミングが進んでいるかを把握して(進捗管理)、田中君に帰宅前に進捗を報告するように指示をして(コミュニケーション管理)、その状況を上司に報告して(ステークホルダー管理)、こっそり田中君の作ったプログラムをソースレビューして(品質管理)、田中君の残業が予算内に収まっているかを確認して(コスト管理)、田中君が仮に病気で休んだ場合でも、自分が田中君の作業を引き受けられるように、自分のその週の仕事を少なめにしておきました(リスク管理)。

プロジェクト管理とは、難しいものではなく、実は誰でも普通にやっていることを偉そうに体系化しただけのものなのです。体系化したもので、有名なものには「PMBOK」があります。PMBOK第6版では、この体系を以下の10の「知識体系」と呼ぶもので整理しています。

①.統合管理
②.スコープ管理
③.スケジュール管理
④.コスト管理
⑤.品質管理
⑥.資源管理
⑦.コミュニケーション管理
⑧.リスク管理
⑨.調達管理
⑩.ステークホルダー管理

ただ私の知る限りでは、この体系で管理しているプロジェクトは見たことがありません。大部分のプロジェクトは以下のような体系で管理をしていました。

①.進捗管理
②.品質管理
③.コスト管理
④.課題管理
⑤.リスク管理
⑥.変更管理
⑦.コミュニケーション管理
⑧.成果物管理(文書管理)
⑨.要員管理
⑩.ステークホルダー管理
⑪.外注管理
基本的には考え方はPMBOKと同じです。多少、括りが違うだけなので、興味のある人は何と何が一緒なのか考えてみると勉強になると思います。

次回からはこの体系に従って、一つ一つ説明していきたいと思います。