ITエンジニアを仕事の役割の観点で分類すると、システム企画、システム開発、運用保守に分類できます(私はシステム開発と保守を経験、ちょっとだけシステム企画にも携わる)。
システムは、IT戦略の立案からシステム企画をして、開発をして、運用保守をして、寿命を終えます。運用保守の中では改修(保守)があり、寿命を延ばしますが、5年から10年くらいが標準的なシステムの寿命です。
IT戦略は、企業がITをどうやってビジネスに活用していくかを中長期的な視点で策定します。最近ではDXなどが話題になっていますが、企業のITを今後、どのようにビジネスに活かしていくのか?そのために必要なことは何なのか?一番重要な人材の確保や育成はどうしていくか ?セキュリティーやコンプライアンスは?そのための予算は?投資対効果は?といったことを策定していきます。そしてこれらは主にCIOとか部門長とかいった経営層の仕事で、本ブログが対象としているITエンジニアのメインの仕事ではないので、詳細は割愛します。(と見栄を張って書きましたが、単に私が知らないだけ)
①システム企画とは?
システム企画は社内SEのお仕事です。IT子会社のエンジニアが一緒にやることもあります。Sierも情報提供という形で携わることがあります。ITエンジニアではありませんが、ITコンサルも携わることが多いです。
システム企画で分かりやすいのは、手作業の業務のシステム化です。最近ではどの企業もシステム化が進んだと言われていますが、意外と手作業でやっている業務がまだまだ残っています。私の前職は、社員数が数十万人もいる巨大グループでしたが、巨大だからなのかシステム化ができていない手作業の業務の宝庫でした。
その他に分かりやすいものでは、システム老朽化によるリプレースや、最近だとクラウド移行とかもあります。セキュリティー強化とかも分かりやすいかと思います。(企画が通るかどうかは別として)
難しいのはビジネスに直接影響を与えるようなシステム企画です。新しいビジネスを生み出したり、既存のビジネスの変革を促したり、といった大それたものでなくても、ちょっとした改善でも良いのですが、システム部門主導でビジネスに影響を与えるようなシステム企画ができる人は少ないです。
でも社内SEになったからには、そういったシステム企画ができることを目指したいものです。
②どんなことをやるのか?
一番難しいのは対象の発掘です。
こんなことできたらいいな、と思ったことを具体化していくことがシステム企画です。企画の対象が決まったら、社内の賛同者を得たりとかネゴシエーション系のことをやりながら、費用対効果や投資対効果を算出します。
この費用対効果、投資対効果が難しいです。
コスト削減系のシステム企画はやりやすいですが、業務改善などは効果の算出が非常に難しいです。極論すれば、未来を予言するようなものなので、真面目で几帳面な性格だと厳しいかもしれません。いかにいい加減な数字をそれっぽく見せるかが重要です。経営層もある程度は分かっているので、通したい企画の場合には、あまり厳しい突っ込みはしません。つまり本当のところは、効果よりも、経営層にやりたい、やった方がよい、と思わせることが重要で、費用対効果とか投資対効果とかは社内の手続き上の建前として出す場合が多いです。
余談ですが官公庁系では、この費用対効果を出す際に、「人件費の削減」という効果はタブー視されているところが多いです。リストラできるわけでもないのに、金をかけて手作業を減らしてどうするんだ、と平気で言う人が現実的にいます。民間企業と違って、ビジネスを拡大していく、という発想がないためですが、私も自分の携わったシステム企画で、そのような発言を聞かされたときには衝撃を受けました。
③売れるスキルなのか?
システム企画のスキルは、果たして他社で通用するのでしょうか?
プロジェクトマネジメントのスキルとか、Javaの開発スキルとか、サーバーの構築スキルとか、そういったスキルに比べて、システム企画のスキルというのはちょっと分かりにくいです。システム企画を通すために重要なことは、スキルよりも情熱かもしれません。私が出会った人たちの中で、自分の企画を通している人たちは、スキルよりも情熱がある人が多いです。ロジカルがちょっと弱いのでは?と思うような企画でも、パワーで押し切るような人です。ネゴシエーションもパワーが無いとできません。ネゴシエーションできないと、どんなにロジカルに効果を説明できても、企画を通すことは難しいです。
そういう情熱のある人は、どこにいっても通用するんだろうなと感じます。
【振り返り】
ざっと以下の分類の③−1についてご説明しましたが、イメージが湧いたでしょうか?
次回は③−2について詳しくご紹介していきたいと思います。
①スキル領域
①−1 アプリケーション系
①−2 インフラ系
①−3 運用系
②会社による違い
②−1 事業会社のIT部門(社内SE)
②−2 ユーザー系IT企業
②−3 Sier
③仕事の役割
③−1 システム企画
③−2 システム開発
③−3 運用保守